第1回上州武尊山スカイビュートレイル14時間30分で完走の記

第1回上州武尊山スカイビュートレイル
みなかみ町スカイビュートレイル60(66km)
14時間30分19秒で完走しました。
武尊山頂から

武尊の稜線

7月のおんたけ100km完走で満足して、8月・9月のランニング総距離はたったの20km。
その間、北アルプス縦走4泊5日(立山→穂高)、南アルプス日帰り(塩見岳)、南アルプス1泊2日(仙丈ケ岳・北岳・間ノ岳)、北アルプス2泊3日(鷲羽岳・水晶岳)と登山のスキルは磨いたものの、ラン用の足がまったくできてないままの参加でした。

案の定、30km地点のエイド3「オグナ武尊スキー場」のゲレンデ激下りで、両足の腸脛靭帯炎が再発し、用意していたロキソニン3個では全く足りず、残りの33kmを気合いと勢いで乗り切りました。
武尊牧場スキー場の激下り

コースは、ロードあり、川渡りあり、2000mのスカイビューあり、スキー場ゲレンデ激登り・激下りあり、道なき道あり、林道あり、ナイトランあり、クマ出没あり(僕は遭遇していませんが)でバラエティに富んでとても骨のあるコースでした。
奥久慈に引けをとらないアドベンチャートレイル

ただ、武尊山山頂への登り下りのハシゴセクションでは猛烈な渋滞が発生し、約2時間のロス。
登りの渋滞

関門時間が2時間延長されましたが、天候が悪ければ、恐らく登りはスリッピー、登山道は濁流化、川は増水、ハシゴ危険、その上渋滞がかさなると低体温症の危険度が高まり、かなり危険な状況となりそうです。
晴れだから行けたものの、雨なら引き返したかもしれません。

第一回ならではの難しさはありますが、次回以降、さらによい大会に発展していって欲しいです。

スタートからチェックポイント1「湯の小屋」

11kmのロード区間。スタートが宝台樹スキー場と標高の高い場所の為、スタートから下り基調です。
若干のアップダウンはあるも、朝日が差し込み、まぶしくも涼しい気持ちの良いロードを進みます。

1時間弱でチェックポイントに到着。
Ambitでは9.28kmとなっていたので、チェックポイント?と思っていたのですが、どうやらCP01だったようです。
山に入る前の適度なアップという感じでしょうか。
想定タイムより30分早かったです。

CP1「湯の小屋」→CP2「武尊山山頂」

CP1湯の小屋を越え、しばらくロードを走って、橋を渡ったあたりから林道に入ります。

徐々にこの大会用に切り開いたであろうコースに変わりますがこれがクセモノ。
熊笹の森を切り開いたのだと思いますが、刈った後の熊笹の茎が、地面から10cmくらい突き出ているのです。
上から靴で踏もうにも跳ね返し、別の所に足を運ばれ、例え踏み倒したとしても、今度は滑らされとなかなか一筋縄ではいきません。
そして、さらに難儀なのが、竹やりのようにとがった先っちょ。
まるで、罠の中を進むようです。

「あんたも好きだね。倒れると刺しちゃうよ。フフッ♪気をつけな。」

そんな熊笹の主張をガンガンに感じながら、こけないように注意していきます。

トレイルの険しさは徐々に増し、泥沼あるわ、川を渡るわ、岩をよじ登るわのアドベンチャーコースへと変化していきます。
楽しきアドベンチャートレイル

アドベンチャートレイル

途中、先行ランナーが道を間違え元来たコースへ戻るというループ現象があるなど、なかなか一筋縄ではいかないオモシロコース。

岩を乗り越えていたら、後ろの女性がドボンと川に落ちました。
幸い深くはなかったので事なきを得ましたが、アドベンチャートレイルは面白いものです。
険しきアドベンチャートレイル

この辺り、アドベンチャーコースとして名高い奥久慈トレイルのコースに引けを取らない楽しさです。

アドベンチャーコースを抜けると登山道に合流します。
1900m付近のもうすぐ頂上と言う所で渋滞発生。

ハシゴがこの上3か所にかけられていてその渋滞との事。
渋滞の原因のハシゴ

待っている間はどんどんと体は冷えてきます。
持ち物の中に「薄手のダウンなどの防寒着」とあり装備チェックの際にもチェックされましたが、もし持っていなければ、この渋滞時の体の冷えはかなりきつかったと思います。
気持ちの良い稜線

渋滞でおよそ止まった時間は50分。ハシゴを抜け、武尊山登頂。
武尊登頂
当初の予定ではこの区間。4時間10分を見込んでおり、ジャスト4時間9分。

渋滞がなければもっと早かったのでしょうが、このゆったりタイム設定をしていたおかげで気持ちもあせらず、よかったのだと思います。

CP2「武尊山山頂」→エイド3「武尊牧場スキー場」

区間9km。1時間20分を見込んでいましたが、かかったのが1時間48分。
スタートからCP1までで浮いたタイムを使い切りました。
原因は下りの渋滞。
下りの渋滞
下り始めるまでに約1時間かかっていました。

この間に、120kmのトップ選手が来たため、先に通します。
ハイカーの方も当然優先下山していただきます。

下りのハシゴは確かに怖いですね。
寝不足などでふらふらしていると危険そう。
ハシゴを抜けると、ひたすら下りです。
たまったストレスを発散するかのように、また、足を使いすぎないようにトレイルランニングを満喫します。
ここからしばらく、気持ちの良い下り基調のトレイルが続きます。
気持ちの良いブナトレイル

そうこうしているうちに、武尊牧場スキー場のエイドに到着。
エイドに到着

エイドでは、水、コーラ、アクエリアス、オレンジ、味噌汁、チョコなどが置いてありました。
エイド3 武尊牧場スキー場
長いトレイルでは飲んでいるつもりでも脱水気味になるので、アクエリアスをがぶ飲み。
オレンジを3つほどいただき(ほかの人の話では一人1個と言われたそうです)、そそくさとスタート。
エイドポイントを出るところでタイムを計測されます。

エイド3「武尊牧場スキー場」→CP3「十二社」

武尊牧場スキー場はピカピカのお天気でした。
武尊牧場はお昼寝をしたくなるお天気

気持ちの良い風が吹き、思わず昼寝をしたくなるお天気。
それまで来ていたロングTシャツ(ファイントラック メリノスピンサーモ)を脱ぎ、メッシュロングTシャツとチームOSJタンクトップのみに着替えます。

そして、次のチェックポイント「十二社(コースマップでは十二様と記載があるけど間違い?)」まで、“激”下りです。
武尊牧場スキー場の激下り
“激”下りの理由は、スキー場を降りるからにほかなりません。
スキー場を下りきり、その後もロードでひたすら下ります。
下りきった所がチェックポイントです。

この“激”下りでまず、右ひざの腸脛靭帯炎が再発、膝に力が入らなくなりました。
それでも下りは降りなければなりません。
カニ歩き、後ろ歩き、アホの坂田歩きを取り入れながら、だましだまし降りていきますと、今後は右足をかばった、左ひざの腸脛靭帯炎が再発。

膝に力が入らないものだから、一歩踏み出すと膝が崩れ落ちて転びそうな感じになります。

仕方がないので、ロキソニンを1錠投入。

10分ほどすると痛みがなくなり、降りられるようになりました。
武尊牧場の激下り2

しかし、この十二社で33km。ちょうど、半分の行程です。
手持ちのロキソニンは残り2錠。
少なかったことに後悔します。

この区間は37分かかりました。
予定は30分。
7分オーバーです。

CP3「十二社」→エイド4「オグナ武尊スキー場」

武尊牧場スキー場から標高を落として十二社へ。
十二社からは、オグナ武尊スキー場へ再度標高を上げます。
このあとに激登り

この区間は林道と“激”登り。
僕はここの登りが一番きつかったです。
どんな登りかというと、カブトムシやクワガタがたくさんいそうなふかふか急斜面を直登するというもの。

普段から人の入っているコースではないらしく、大会参加者の踏み跡しかありません。
この程度の人数だと足場も固まらないため、ガッツリ靴底のグリップを効かせなければすべりおちます。
「いい土の匂いだなぁ」という平和な感想とともに「どこまで登らせるねん(怒)」との感想も漏れます。

そんな斜面と格闘すること1時間。
ピークに達したのか、またもや急下り斜面が登場。
既に、1錠のロキソニンの効果は薄れ、横歩きをしながら無心で下ります。

下から応援の声が聞こえだしました。
エイド4「オグナほたかスキー場」です。
エイド4 オグナほたかスキー場
到着したのはスキー場センターハウス。

ここでは味噌汁、塩おにぎり、スープ、オレンジ、コーラ、アクエリアス、水、チョコなどがありました。
そして、預けている人はドロップバッグを受け取ることができます。

しかし、塩おにぎりと味噌汁が超ありがたかった。
オグナほたかスキー場での味噌汁とおにぎりが神すぎる
そして、スープも超うまかった。

心の中でうれし泣きしながらおにぎりと味噌汁をほうばっておりますと、先日の南アルプスで知り合った宮崎さんがいました。
どうやらお互い腸脛靭帯炎のおかげでロキソニン投入中のようです。

出るタイミングも同じだったので、一緒に進みます。
ここからはストックが使用可能です。

想定区間タイム 2時間
実際タイム 1時間30分
先の7分オーバーをとり返し、20分の余分タイムが出ました。

エイド4「オグナほたかスキー場」→エイド5「赤倉峠」

スキー場からロードを下って、再度林道に入り登りかえします。
膝の調子が良かったので、宮崎さんに先行して走ります。

学校やお店があって久しぶりに街に出た雰囲気です。

合宿に来ていたのでしょうか、バスに乗った高校生?達が僕たちに手を振っているので、最大級の笑顔で手を振りかえしました。
ちょっとリフレッシュ。

林道に入ると適度なガレ場ありの道でした。
比較的登りやすい。

ストックを付きながらテンポよく歩いておりますと、宮崎さんが追い付いてきました。
結構、速い(汗)

ちぎられないように頑張ってついて行きます。

話しながら歩いておりますと、僕の視界になにかワイヤーのようなものが目に入りました。
歩みを緩めてみると、蛇が「シャキーン!」と背伸びをして僕を待ち構えています。

うわぁ!と思わず飛びのき事なきを得ましたが、何も気づかず進んでいたら、ちょうど右足で蛇を蹴り上げる所でした。
(実際は蹴り上げる前にかまれてポイズンリムーバーのお世話になるところでした)。

僕の1時間後にゴールした方も同じ蛇を見たとのことで、蛇もランナーに蹴り上げられることなく威厳を保ち続けられていたのは、なぜだかよかったと思います。

その他、別の方の話によると熊に遭遇された方がいたようです。
新たに切り開いたコースですから、色々な動物に合うことができます。
これもまたトレイルランニングの楽しみのひとつです。

宮崎さんにひっぱられながら、最終エイド「赤倉峠」に到着しました。
最終エイド 赤倉峠
ここではパン、オレンジ、コーラ、アクエリアス、水、チョコなどがありました。

食べる必要もなかったのに、なぜだかアンパンをほうばってしまい、食べるまでに時間がかかりました。
その間に宮崎さんは先に出発。

日没も間近。
ヘッドランプを準備して、ゆっくりと出発します。

想定区間タイム1時間44分
実際1時間6分。
約30分短縮できましたので、先の20分を合わせて50分短縮できています。

エイド5「赤倉峠」→CP6「浅松山」

既に10時間を超え、時刻は午後4時を過ぎました。
ここからは緩やかな林道をひたすら登ります。

暗くなってきたことに加え、あまり眺望がないので、気持ちも晴れません。
急な登りや下りがないため、膝への負担は少ないですが、走れないのがもどかしい。

僕にできることは1歩を重ねる事だけです。

追い付いてきたランナーと「鏑木のあほー」とか言いながら気を紛らせつつ進みました。

7.2kmを1時間32分で進み、最終チェックポイントのCP7「雨乞山」に到着。
ここから再度山に入ります。
既に山は闇の中。
ヘッドランプは全開です。

CP6「浅松山」→CP7「雨乞山」

この区間は小刻みなアップダウンがたくさんありました。
しかもナイトラン。
木にまかれた反射板の明かりを頼りにコースを進みます。

この時すでに最終ロキソニンも飲み終え、膝も回復しないながらもなんとか進める方法を編み出しておりました。
大きな下りは横歩きしか無理ですが、10歩程度のすり足走りなら走れます。
10歩走り、少し歩き、また10歩走る。
そんなことを積み重ねながら徐々に進みます。

夜の森をヘッドライトをつけながら走るというのはかなりの非日常な光景です。

気温も下がり、息が白くなります。
自然と同じペースの集団が形成され、トップを走る人がどこかで落ち、トップが入れ替わり、またトップが落ち、というサイクルを繰り返しながら、集団は闇夜を進みます。

大きなくだりがなかったのが幸い、膝は痛いながらも徐々に走れる時間も長くなってきました。
闇夜の隙間から、街の明かりが見えるようになりました。

「文明に戻ってきた!」そう思うと、気持ちも晴れやかに。
旅も終わりが見えてきた安堵感と、さみしさと入り混じりながらも1歩の足は止まることなく動き続けます。

雨乞山山頂に到着。
最終チェックを受け、後は下山するのみ。
川場村の夜景を少しの間楽しみます。

コースタイム 未設定
所要時間 1時間48分

CP6「浅松山」→CP7「雨乞山」

雨乞山からは滑りやすい急斜面を下ります。
この急斜面。非常に膝に来ます。

とはいえ、ゴールは目前。
問題はこの山を下りてからのロードの長さです。
その情報はランナーの間でも錯綜しており、5kmとも7kmとも言われておりました。

結果、2km。
なんと素晴らしい。

途中で、宮崎さんに追い付きました。
どなたかと一緒に走っています。
一旦追い越しましたが、再度追い付かれ、その後ずっと3人で一緒に早歩きでゴールに向かうことになります。

雨乞山の急斜面を降りると、緩やかな下山道に出ます。
そこを降り切るとロード!たったの2km!

携帯の電波も入ったので、待ってくれている友達に残り2kmとLineを入れ、宮崎さんと一緒に走ります。
「ゴール、どんな風に入ります?」
「肩組んでいくのはどうですか?」
「それいいっすね」

2kmのロードを走りながらそんな会話を楽しみます。

ゴールが見えてきました。
最後の橋を渡っている途中、宮崎さんと一緒に進んでいた方も後ろにつけていたので、3人でゴールしようということになりました。

駐車場を経由して、3人で手をつなぎ、ゴールの花道を進みます。

朝6時にスタートして、約15時間、山の中を走ったり歩いたり。
日も暮れ、闇の森を息を白くしながらも進み続けた長い1日。
上州武尊の旅が終わります。

3人そろってジャンプしてゴール!

結果、14時間30分19秒。
第1回 上州武尊スカイビュー・ウルトラトレイル
みなかみ町スカイビュートレイル60
昨年に引き続き、無事完走しました。
上州武尊スカイビュートレイル無事完走

最後に

終始晴天。
天気が良かったのが何よりでした。
武尊山からの眺めは最高でした。
紅葉も始まっていました。

山あり、谷あり、川渡りあり、ゲレンデあり、激登りあり、激下りあり、ナイトランあり、小刻みなアップダウンあり。
バリエーションに富んだとても面白いコースであったと思います。

終始、気持ちを切らすことなく行動できたのは自分の成長を感じられました。
タラレバは意味を成しませんが、
・渋滞2時間がなければ
・腸脛靭帯炎がなければ
・ロードを走る時間をとれていれば
10時間切りを目標にすることも可能だと感じました。

気持ちを切らすことなく行動できたのは、事前に作成したタイムスケジュールのおかげです。
長いレースですから、疲れが溜まってスピードが落ちてくると、気持ちに焦りが出てきます。
事前にそれを織り込んだスケジュールを立てていると「大丈夫。想定内だから」と無理せず歩みを重ねることができます。

これがあるとないとでは大きな違いになります。
いきなり精度の高いものはできないとは思いますが、積み重ねていくことでよいものができ、自分のレースができるようになるのだと思います。

今回は、SUNNT Ambit2に蓄積された、過去の登山や大会の履歴から登り、下りの走力を出し、区間タイムを設定しました。
昨年のハセツネが17時間だったので、累世標高も少なく、距離も短い上州武尊は15時間を設定しました。

結果14時間30分。
上出来です。

こんな魅力的なコースを作っていただいた鏑木さん、実行委員会のみなさん。
本当にありがとうございます。

第一回であるため、地元の方の応援などもほとんどなかったですが、回を重ねるごとに地域の方々も楽しんで応援に参加できる、年1回のレースイベントを楽しみに待ってくれている人が増えるような地域振興に役立てればよいなと思います。

当日は晴天の為、武尊山にはたくさんのハイカーが来られていました。
極力優先して進んでいただけるようランナーも配慮していましたが、負担になったであろうことは想像に難くありません。
今後のスムーズな大会運営に期待するとともに、トレイルランナー一人ひとりが、共有財産である山を楽しく過ごせるように配慮していく必要があると思いました。

最後に、ペーパードライバーながら、2日の猛特訓だけで、宝台樹スキー場から、ゴール地点の川場村中央公園までの単独運転。
そして、帰りの運転をほぼ行ってくれたミキティには感謝です。

また、ゴール地点で待ってくれていた小路さん。
ありがとうございました。

[sankakuten]

2 COMMENTS

つくね

yuさん
その通りでした!
あのフカフカ登りは「ストックがないのでつらいなぁ」と思いながら登った記憶を思い出しました。

修正しました。
ありがとうございました。

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